2025年法改正で“義務化”された熱中症対策とは?現場の技術士が知っておくべき3つのポイント 2025年6月28日 土曜日
電気工事の現場で働く私たちにとって、「夏」は単なる季節の変わり目ではありません。照りつける日差し、まとわりつく湿気、アスファルトの照り返し、その全てが、作業環境を一変させ、時に命を脅かす過酷な条件へと変わります。
そんな状況でも、現場の技術士たちは手を止めることなく、暮らしやインフラを支えるために働き続けています。
しかし今、その“当たり前の現場”を続けるには、ひとつ大きな転換点が訪れました。
「気をつけるだけでは、もう守れない。誰かの意識任せでは、防ぎきれない。」
だからこそ、令和7年6月、ついに国が「熱中症対策を義務」として明文化しました。私たち現場の人間にとって、それは「命を守るためのルール」が、ようやく追いついてきた瞬間でもあります。
皆さん、こんにちは。SHUDEN,ON TIMEです。
◉なぜ今、「熱中症対策の法制化」が求められたのか?
ここ数年、猛暑は“当たり前”になりました。
厚生労働省の発表によると、
・ 令和5年(2023年)には、全国で1,106件の職場における熱中症による死傷災害が発生
・ そのうち死亡事故は31件
・しかも28件は、発症時や緊急時の対応が周知されていなかった事例
※【出典】厚生労働省鹿児島労働局「職場における熱中症対策の強化について」2025年4月18日発表
これは、「気づかなかった」「対処できなかった」という人的ミスが、命に直結したことを意味します。だからこそ国は、熱中症対策を“努力義務”から“法的義務”へと明確にシフトさせました。
改正内容は、熱中症のおそれがある労働者を早期に見つけ、その状況に応じ、迅速かつ適切に対処することにより、熱中症の重篤化を防止すること。そのために体制整備や手順作成、関係者への周知が事業者に義務付けられ、今月1日から施行されています。
◉【3分解説】2025年の労働安全衛生規則改正ポイント
今回の改正で新たに義務付けられたのは、次の3つの対応です:
1. 報告体制の整備と作業員への周知
「ちょっとふらついた」「顔が赤い気がする」――
こんな小さな異変を、誰もがすぐに報告・共有できる仕組みをつくることが義務化されました。
2. 緊急対応マニュアルの作成と徹底
いざという時、
- どの病院に運ぶのか
- 誰が初動対応を行うのか
- 作業をどこで止め、どのように冷却するのか
を、事業場ごとに手順化して周知する必要があります。
3. 実際の作業環境を基にした即応体制
特に以下の条件に当てはまる作業には注意が必要です:
- 暑さ指数(WBGT値)が28以上
- 気温が31℃以上
- 1時間以上の連続作業、または1日合計4時間以上の作業が見込まれる場合
これらに対策を講じずに作業を行った場合、
6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
【用語解説】WBGT値とは?
WBGT(湿球黒球温度)とは、気温・湿度・日差し・風通しなどをもとに算出される「実際に体が感じる暑さ」を示す指数で、厚生労働省ではWBGT値が28以上を「警戒レベル」と定義しています。同じ30℃でも、湿度や日射の条件次第でWBGT値は大きく変わるため、気温よりも実用的な熱中症リスクの指標とされています。
⇨あなたの現場のWBGT値を確認してみる(熱中症予防情報サイト)
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