【前編】緊急出動要請発動!市民の暮らしを支える下水道ポンプに纏わる雨の日の出来事。 2021年9月29日 水曜日
■緊急事態が発生した8月14日、その一日
8:36 - 福岡県A町の担当者から秀電社に、「下水道マンホールポンプの2号機に故障(過負荷)が発生」との一報が入る。最初の連絡を受け対応したのは秀電社営業担当の水田だった。昨夜からの大雨の影響があるのではと考えた水田は、冷静に現場にいるその担当者や管理業者へ確認すべきポイントを伝える。
※水田は営業部の主軸として活躍する傍ら、電気工事の資格も多く取得し技術士としての造詣も深い二刀流の社員。
下水道マンホールポンプは家庭や工場等から排出された下水を組み上げて送水する役割を担い、日常でも道路でその蓋を普通に見かける事ができる。ただそれがもし故障するとその地域一帯が生活排水を出せなくなる、つまりそれは「トイレに行けず、風呂も入れず、シンクも使えない」等、現代人にとって日常生活に大きな支障をきたしてしまう。
※マンホール内に設置されているポンプ本体機の一例。下水道の仕組みは福岡市道路下水道局のHPでご覧いただけます。
13:00 - しばらく担当者との連絡のラリーが続くも、13時に「ポンプに異物の詰まりはなかった」との調査報告が入る。
マンホールポンプの多くは万一の故障に備えて通常2つがセットで設置され、そのうち一台が稼働する仕組みのため、水田は「後日調査」をA町の担当者に提案して了承を得た。
水田が判断した理由は、この時点ですぐに2号ポンプの故障の復旧はできないが、1号ポンプは運転が確認できていること、お盆期間や他の緊急出動が重なり作業員の確保が困難な事、そして何よりもその時点での降雨量がひどく人命と安全の優先のため、だった。
16:00 - 雨は弱まってきたもののA町の担当者から「マンホール内の高水位が改善されない」との連絡が入る。水田はポンプの数値が把握できる監視用の画面で運転状態を確認するが数値での異常は見当たらない。しかしこれまでの経験上、大雨で不明水が発生していることも考えられたため、慌てずに状況の監視を続けた。
20:00 - ポンプの運転状況を監視し続けていくうちに水田はある兆候に気付いた。「1号ポンプの運転電流値が17時頃から20時にかけて1時間ごとに0.2A程度落ちて行っている・・・。これはエアロック(配管内の異物による閉塞)なのではないか?」と。
そこから再度現場の状況を確認し、原因が特定できた場合に備えてシューティングの方法を確定、同時に技術士のアサインを始める。
21:30 - A町の担当者に連絡し、現場のポンプ運転状況に異常があることを報告。
21:41 - 工事部に正式な緊急出動要請を行う。
22:54 - 秀電社工事部のベテラン技術士の2名が現場に到着、周囲の安全を確認し、早速調査を開始。
故障原因が不明なため、1号機と2号機械の配線を入れ替えて「ポンプ自体の故障か、制御盤の故障かを先ず識別。その結果、機械自体の「ポンプ」、配水を貯めこむ「槽内」、水の通り道である「配管」に不具合があることを特定した。
ただ、マンホール槽内での高水位状態は継続しており、運転時の電流値も通常3.2Aあるところ、2.47Aと低い状態。このまま2機とも止まってしまっては下水が町中に溢れ出ることに・・。雨も降り続く中、現場にも緊張が走った。
01:00 - 復旧を試みていた2号機ポンプがようやく動き始め、運転を再開させたところ送水を開始。電流値も正常に戻った。それから1時間半程度運転し、マンホール槽内の水位を下げることに成功。全員が少し、安堵した。
02:30 – 水位が下がり槽内を確認したところ、不明水の中に大量の土砂が含まれており、黒い砂が底面に堆積していた。砂が槽内底面に堆積し、2号ポンプは砂をロックして過負荷を発生させていたのだった。その影響で1号ポンプが空回り運転をしていた事も判明。
03:00 – 管理業者が槽内の清掃、堆積物を吸い出すバキュームを実施。
全ての作業が終わった頃、時計の針は朝の5時近くを指していた。
続きは【後編】緊急出動要請発動!市民の暮らしを支える下水ポンプに纏わる雨の日の出来事。でご覧いただけます!
それでは、後編で。
Next ⇒ 【後編】緊急出動に対応できる理由。
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