ジョイント・ベンチャーで行われる福岡の一大事業 ~こんなトコロに秀電社vol.8 序 ~ 2021年10月19日 火曜日
①JVとは – 実は時代のリーディング業界だった?!建設業のJV! –
JVとは2つ以上の会社が、共通の利益のために必要な事業を遂行させることを目的として、契約などにより共同で設立または取得したいわゆる「合弁会社」の事を言います。企業同士のコラボで出来た新会社(事業体)のようなイメージだと最初は覚えやすいかもしれません。
ここ最近では、TOYOTA社のスマートシティ構想「WOVEN CITY(ウーブン・シティ)」が代表例として挙げられ、NTT社やPanasonic社など複数の大企業が参画し、ロボットやAI技術を駆使した大規模事業として話題となっています。また近年の「ジョブ型」と呼ばれるプロジェクトごとに別々の担当者が招聘され一つの案件を遂行するワークスタイルもそれに近いと言えます。
一見すると日本代表チームのような花形組織に思われがちですが、各企業の代表となる担当者たちには、資格や経験、技術力と同時に高いコミュニケーション能力も求められ、割と地味でハードな環境に身を置くことになります。
建設業界でのJVは、一企業単体では受注や施工に限度がある場合に「通常2社から5社の複数の建設企業が一つの共同企業体を立ち上げ、総合的な受注や施工を目的として形成する事業組織体」のことを指します。因みに民法上は法人ではなく事業組織体として「組合」に分類され、工事完了時、または受注できなかった時は解散します。
実はその歴史も古く、1951年(昭和26年)には建設省(現・国土交通省)において制度化され、運用が開始されていました。大規模かつ高難度の工事の安定的施工の確保、そして優良な中小・中堅の建設企業の振興などが、今から70年前には既に図られていたのです。当時から建設業界は時代の先端を走っていたのかもしれませんね。
またJVは、共同企業体の取扱い基準によって求められる技術は異なり、下記のように結成目的と施工方式によって3つ、そして更に2つに分類されます。
★結成目的による3分類
●特定建設工事共同企業体(特定JV)
●経常建設共同企業体(経常JV)
●地域維持型建設共同企業体(地域維持型JV)
★施工方式(標準協定書)による2分類
●甲型(共同施工方式)
●乙型(分担施工方式)
※詳細は下記でご覧いただけます。
■ 国土交通省 / JVについて
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000101.html
■ 共同企業体の方式 ★結成目的による3分類
●特定建設工事共同企業体(特定JV)
共同企業体による施工が必要と認められた場合、工事ごとに結成する共同企業体を特定JVと言い、発注される工事ごとに結成される。JVに参加するためには工事に対応できる許可業種での営業年数や、過去に同じ工事を施工した実績を保有するなどの条件もあり、国家資格を持った主任技術者や許可業種の監理技術者を現場に専任で配置できる企業で構成されます。
●経常建設共同企業体(経常JV)
中小・中堅建設企業が継続的な協業関係を確保することにより、その経営力・施工力を強化する目的で結成する共同企業体を言い、単体企業と同様一定期間、有資格業者として登録され入札に参加できます。ただしJVに参加する条件は、登録する部門の許可業種を営業し、元請として実績があること、参加企業すべてが監理技術者や国家資格を保有する主任技術者を工事現場ごとに専任配置できること、等があります。
●地域維持型建設共同企業体(地域維持型JV)
2011年に新設された制度で、地域の建造物の維持管理に不可欠な事業の「実施体制の安定確保を図ること」を目的とする共同企業体。このJVも一定期間、有資格業者として登録することができます。建設事業の減少による企業の小規模化や集約により、維持管理が困難な状況の中、地域の建造物の修繕やパトロール、災害応急対応、除雪などに特化したJVで、新たな建造物施工は受注しません。参加条件は他のJVに加え、地域の地形や地質に詳しく、迅速に現場に到着できること。
■ 共同企業体の方式 ★施工方式(標準協定書)による2分類
債務不履行が発生した場合の責任の所在を明確にして、安定した取引を保護するために、標準協定書による施工方式の種類によって、甲型JVと乙型JVに分類されます。
●甲型(共同施工方式)
全構成員が出資の割合に応じて資金、人材、機材などを拠出し、出資割合に応じて利益も分配されます。各企業の決算書に損益項目を追加し、出資割合に応じた利益も記載。代表者は設立目的の分類によって決められ、出資割合が多い企業が務めます。
●乙型(分担施工方式)
事前に「工区」に分割し、各企業がそれぞれ担当する工区について施工の責任を持ち、経費も利益もそれぞれの企業で計上します。ですが、最終的には他の企業が担当した工事について、発注者に対して連帯責任を負うという「会計処理と責任の所在」が異なる点が特徴。出資比率や分担に応じた人員はすぐに決められるが、自社の得意分野を担当できるかは不明。
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